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「ボクシングをもっともっと盛り上げて欲しいですね。やっぱり長谷川穂積選手をもっとメジャーにすることを考えて欲しいです。ボクシングが好きだから、どうしても真剣になっちゃうんですよ・・・」
この男も、別の道で戦う“戦士”でありながら、ボクシングを愛し続けている――
「ワハハ本舗」のウクレレえいじさんからご紹介いただいた今月の“戦士”は、たけし軍団に所属する、なべやかんさん。ボクシング雑誌にコラムを執筆していたこともある、大のボクシング好きだ。
お会いするのは初めてだが、以前からボクシングといろいろな関わりがあることを何となく知っていたので、どんなお話が聞けるか楽しみにしていた。
なべやかんさんは、1970年に、なべおさみ・笹るみ子夫妻のもとに東京で生まれたお笑いタレントで、元パワーリフティング日本代表という特技も併せ持つ多才な人物だ。
このなべやかんさんとお会いする為に、私は初春の下北沢へと向かった。いつものように、“写心家”山口裕朗氏も一緒だ。
「僕の実家がここから近いんですよ。小学生の頃、金子ジムに通っていたこともあるんです」と、初対面のやかんさんは、何と私が所属していたジムの練習生だったという。
「じゃ、下北沢生まれの下北沢育ちってわけですね。どこかお勧めのお店を知ってますか?」我々は、やかんさんのお勧めの居酒屋へ入り、団欒を楽しむことになった。
「小学生の時、“あしたのジョー”を見て憧れましてね、それで金子ジムに入門したんですよ。1〜2年しか続きませんでしたけど、その頃、東洋チャンピオンの村田英次郎さん(第19代東洋太平洋バンタム級王者・12度防衛)がいたんです。カッコ良かったですね〜」やかんさんは、ボクシングジムに通い始めたきっかけを語ってくれた。
初のボクシング生観戦も、東京武道館でおこなわれた「村田英次郎vsルペ・ピントール」の世界戦だったという。
やかんさんは、1994年以来、自身も含めたマニアックな特殊芸人たちが多数出演するお笑いライブを主催しているが、この舞台タイトル「嗚呼!東洋・太平洋秘宝館タイトルマッチ」は、村田英次郎さんをリスペクトして名付けたものらしい。

現在、お笑タレントとして活躍中のなべやかんさんだが、その名が知られる前から喜劇には興味があり、由利徹(ゆり とおる)氏の付き人をしていた時期もあった。
「由利先生と父親の舞台を見て、すげぇ!って思ったのが、この道を選んだきっかけでした」
その後、なべやかんさんが自身のネタにもしている「明治大学替え玉受験」の喧騒がきっかけで、師匠となるビートたけし氏に見出され、たけし軍団に加入した話はよく知られている。
かつて、この「戦士と語る」にも登場していただいた高橋ナオト氏
(http://nittagym.com/column/back/vol4/vol4.html)
や梅津正彦氏
(http://www.tic-box.com/doc-nitta/nitta-0811.html)
らも、映画「キッズリターン」の撮映協力等でたけし軍団とは縁があった。
その二人が軍団に遊びに来た際、やかんさんは「お前、もう一回ボクシングやれ」と促され、今度は協栄ジムでボクシングのトレーニングを再開した。
「1年くらい通わせていただいて、スパーリングなんかもやりました。鬼塚さん(元WBA世界Sフライ級王者・鬼塚勝也)が世界を獲る前で、ジムが凄く盛り上がってた時期でした」

ところで、なべやかんさんには“元パワーリフティング日本代表”という凄い肩書がある。
パワーリフティングとは、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目で重量を競い合い、そのトータル重量で順位を決定する競技だ。
1998年アジア大会ベンチプレスの部で優勝、1998年、1999年世界パワーリフティング選手権ベンチプレスの部で準優勝、2001年、2002年、2004年の全日本パワーリフティング選手権で優勝などなど、数々の国内大会、国際大会で活躍した。
やかんさんのベストは、スクワット205kg、ベンチプレス147.5kg、デッドリフト207.5kgと、156cmの小柄な体からは想像のつかないパワーの持ち主なのである。
「まあ、運動不足でスポーツジムに通うようになったのがきっかけなんですよ・・・」
「――って、普通に喋ってますけど、そんな成績を残せる人は普通ではいないですよ。昔から筋力は強かったんですか?」
私の質問に、やかんさん自身も少し考えながらポツリポツリと語り始めた。
「高校時代にラグビー部に所属していたんですけど、肩の脱臼グセにずっと悩まされてたんです」
やかんさんはある日、父であるなべおさみ氏の関係で、やはり肩の脱臼に苦しんだ大横綱・千代の富士(現・九重親方)からアドバイスを受けたという。
「毎日腕立て伏せで筋力トレーニングをしなさい――」
相撲界では当時ご法度とされていたウェイトトレーニングで脱臼を克服した千代の富士関から、やかんさんはそうアドバイスを受けた。
「それから毎日筋トレに励むようになったことで、基礎的な土台が出来たのかも知れないですね」と説明してくれた。
「ただ、通い始めたスポーツジムのインストラクターがタイプの女性だったことも大きいですね(笑)」
やかんさんは、そのスポーツクラブのトレーニングで日本記録まで叩き出したらしい。
「で、そのインストラクターとはどうだったんですか?」
「ダメでした・・・」

ボクシング界でも顔の広いなべやかんさんだが、「戦士と語るVol.5」に登場していただいた打越昌弘さん(帝拳) とも親交があるという。
「高橋ナオトさんに紹介してもらったんですけど、打越さんてホントに楽しい人ですよね!」と、やかんさんは嬉しそうに笑った。
ちなみに打越氏は私も個人的に親交が深い――ということで早速電話をかけてみると、
「いや〜、そっちは楽しそうですね! 今度は3人で会いましょうよ!」
と、打越氏のエネルギッシュな声が返って来た。
「戦士と語る」は、こうして友達の輪が広がってゆくことが大きな喜びのひとつである。
「ボクシングをもっともっと盛り上げて欲しいですね。やっぱり長谷川穂積選手をもっとメジャーにすることを考えて欲しいです。ボクシングが好きだから、どうしても真剣になっちゃうんですよ・・・」と、なべやかんさんもボクシング界の発展を望んでくれている。
ボクシング界の為に、なべやかんさんのような芸能関係の方にも、是非お力を貸していただきたいと思う。
また新たな“ボクシング人”と出会えた。やっぱり「戦士と語る」は止められない――
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