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アマチュアの実績をひっさげて協栄ジムに鳴り物入りでひっぱられて来たのかと思ったら、「そんなに才能溢れる選手ってわけじゃなかったですから・・・」とこの男、意外と謙虚だったりもする。インターハイを終えた後、高校在学中に自ら協栄ジムの門を叩いた。
協栄ジムを選んだのは、やはり佐々木基樹の影響が大きい。「佐々木さんと湯場忠志の試合を見て、自分と同じ階級にこんな強い人がいる―絶対このジムがいいと思ったんです。」
確かに、同じジムにレベルの高い選手やチャンピオンクラスの選手がいるというのは、選手が強くなる上でとても大きな要素のひとつと言える。
協栄ジムに入門して間もなく、高校在学中にプロデビュー。判定勝利を収めた渡部選手だったが、やはりプロの水に馴染んでいなかった為に不本意な出来栄えだったという。
その後、ジム先輩の世界ランカー 坂田健史や、角海老宝石ジムの元世界王者 イーグル京和などと一緒にハワイキャンプを経験した。「朝は10km〜20kmのランニング。夕方は鬼のようなダッシュ。クタクタで、トレーニング時間以外はひたすら休んでました。やっぱり世界レベルは凄いなと思いました」
ジムでは萩原コーチと共にプロのトレーニングとスパーリングを積み重ね、少しずつプロボクサーとしての渡部信宣が築かれていった。
そしてデビュー戦から8ヶ月後におこなわれた2戦目の試合では、1ラウンドKOでの改心の勝利を飾った。その派手なパフォーマンスは、ボクシングファンのサイトで話題になるなど、プロ選手としての人気も上がってきたのだった。
ところがこの意外と謙虚な男、「人とはちょっと違うな、っていうのを見せたかったんですけど、そのやり方を間違えてしまったかも・・・」と、協栄ジムホームページ内で、先輩の佐藤
修(元WBA世界Sバンタム級王者)に、そんな反省の弁を述べている。やはり、実は結構真面目な人柄なのだ。
そのジム先輩の佐藤 修について、「優しくて謙虚。もっと威張っていいのに・・・。そこがカッコいい。自分はそうはなれないと思うけど」と印象を語った。そうはなれないと言いつつ、「優しくて謙虚」であることを「カッコいい」と感じる人間であることが伝わってくる。
渡部選手は、飲食店のランチタイムに皿洗いのアルバイトをする傍ら、週に一度、協栄ジムが企画している“シェイプボクシング”というフィットネスクラスのインストラクターをしている。首都圏の契約スポーツクラブへ出向き、“シェイプボクシング”のレッスンを担当しているのだ。
「初めは“仕事”だからという意識でしたが、今では“楽しみ”のひとつになっています」指導している生徒さんとは、レッスンの後にいろいろ話をしたりして親交を深めている。「試合の時には、チケットを買って応援にも来てくれますし・・・」仕事として大きな収入を得ているわけではないが、他では得られない大切なものを得ているという。だんだんこの男の素敵な本性が暴かれてきた・・・。 |