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今年30歳になる佐々木さんだが、将来設計について尋ねてみた。20台前半の選手とは違い、現実も分かってくる大人のボクサーとして、将来をどのように考えているのか聞きたかった。
「具体的な将来設計はまだ考えてません。今はチャンピオンになることだけです」
愚問だったかもしれない。彼は『非電波少年的拳闘生活』という自身のホームページの中で、「俺は、熱くなるために生きている。天に向かって“我が生涯に一片の悔いなし!!”と断言して死にたい」と述べている。“今”熱く生きることが彼にとって最大の価値なのだ。
ご存知の通りボクシング界に疎い私は、佐々木さんについて、事前にインターネットを駆使して情報収集をした上でインタビューに臨んだつもりだった。しかし、佐々木さんについて最も充実した情報源である、この『非電波少年的拳闘生活』という個人サイトだけを見落としてしまっていた。
「新田さん、検索エンジンのトップページに出ているはずなんですけどねえ・・・」
正月早々、天然ボケを披露してしまったが、かえって親しみを感じてもらった(はずである)。良かった、良かった?
「俺もボクシング界には疎いですから!」
気を使ってくれた佐々木さんの厳つい顔がほころんだ。
後日、『非電波少年的拳闘生活』を閲覧させていただいた私は大いに後悔した。その充実したコンテンツには、佐々木さんの魅力が満載で、ご自身が執筆された日記や世界中を冒険した写真など、興味をそそられる内容で一杯だったからだ。
さて、ジムでは東日本新人王を獲得した頃から、ずっと長い間ジミンコーチの指導を受けているという佐々木さんだけあって、ふたりのやりとりはピッタリと息が合っていた。
「何語でコミュニケーションをとってるんですか?」
日本語があまり達者でないジミンコーチと、どうやって一緒にトレーニングをしているのかが不思議で仕方なかったので聞いてみた。
「“ジミン語”ってのがあるんですよ」
ロシア語と日本語、そして英語をミックスした“師弟にしか分からない言語”でふたりはコミュニケーションをとっていた。残念ながら、やはりそばで聞いていても理解するのは難しかった。
緻密に計算された科学的なトレーニング―それは知的な佐々木さんにとって、ピッタリのトレーニング方法だった。
「ジミンさんは、実に合理的なトレーニングをする。俺は科学に裏打ちされたトレーニング理論というところが一番気に入っている」
佐々木さんは、ジミンコーチのことをそんな風に語っている。
それでも師弟は何かと口論になるという。「口論の時は英語ですね。だってジミンさんの日本語より俺のタイ語の方がましなくらいですから・・・」
試合の合間を縫って、タイをはじめ、カンボジア、ラオス、中国、チベット、ネパール、韓国、アメリカ、メキシコと世界中を訪れて「基樹参上!」と叫ぶ“唯我独尊”の男は、この夜も“熱くなるため”に語り続けてくれた。
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