試合後のボクサーの顔は彼らの生きた証を語る

試合を終えた後、私は出来るだけ、選手の顔を撮影させてもらうことにしている

それは、腫れ上がった頬や瞼、その全てから彼らの想いを掬い上げたいと思うから

まだ試合の熱気が冷めやまないわずかな時間にボクサーと向き合う

試合の中では掴むことが出来なかった彼らの内面に少し近づくことのできる貴重な時間

その時、彼らがボクサーであり続けることへの想いを感じ取る

顔面の傷を忘れさせるような笑顔があれば、悔しさを滲ませ、再起を誓う顔がある

相手の拳によって作られた痣、そこからリング上での激闘を思い出す

勝者にレンズを向ける

彼らの放熱に押し切られそうになりながら、そのエネルギーを浴びてシャッターを切る

敗者にレンズを向ける

曇る表情の中に男の強さと弱さ、そして、言葉に表しきれない感情をじっと噛み締めながら

シャッターを切っていく

試合を撮影する時よりも何倍も緊張しながらも、

ボクシングを撮る中で、一番濃密な空気が流れていると感じる

僕が撮影した写真がいつまでも彼らの手元に残ってくれたらと思う

そのためには、まだまだ修行が必要だ



中西祐介プロフィール

1979年 東京生まれ

東京工芸大学 芸術学部 写真学科 卒業

講談社写真部 勤務を経て、現在、アフロスポーツに所属。

ボクシングをはじめとするスポーツ現場から人物ポートレートまで、幅広く活動中。


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