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日陰の戦士

秋晴れの日曜日の昼下がり、東京から百キロ以上離れた小さな体育館で、
ボクシング興行が行われた。
スポットライト設備のない小さな体育館の真ん中に特設のリングが作られ、
地元の人々が応援に駆けつける。

先日行われた世界戦に比べれば、遥かに小さな興行ではあるが、ボクサーにとって、
待ちに待った試合であることに違いはない。

私はある4回戦ボクサーを見るために、この地を訪れた。
ジム内でも決して目立つとは言えない男だが、
直向きにジムワークに打ち込む姿を見ているとその先が気になってくる。
連敗が続き、なかなか結果が出せずにいる間も、ジムワークは欠かさなかった。

コインロッカー付きの更衣室を利用した控え室で、バンテージとトランクスを身につける。
そして、グローブを着けた瞬間、普段の温和な顔は一瞬でボクサーの顔に変身する。

ゴングが鳴ると想像以上の壮絶な打ち合いになった。
両者とも一歩も引かない思わず熱くなるいい試合だった。
試合後、勝利を手にした男は喜びを噛み締めながら私にこう言った。
「見てくれる人がいるからがんばることが出来ます。」
その言葉に私はいつも動かされているのかもしれない。
スポットライトの当たらない日陰の戦士にまた会いたくなった。
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