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四回戦ボーイ

四回戦ボーイという言葉を聞いて理解出来る人は、少なからずボクシングを知っている人だろう。
私が、この言葉を初めて耳にしたのは、学生時代、まだボクシングに関わる以前のことだった。
当時は、それがプロのライセンスを持つボクサーであること以外は何も知らなかった。
プロボクサーのほとんどは、3分4ラウンドの試合で、ボクサー人生をスタートさせる。
4ラウンドで勝負を決めることから4回戦ボーイと呼ばれる。
私が最初にカメラを向けたボクサーは、四回戦ボーイだった。私よりも一つ年下のボクサーで、プロデビューを控えていた。
俺は、強くなりたいんです。そう言いながらがむしゃらにサンドバックを打ち込む姿に夢中でシャッターを押し続けた記憶がある。
去る9月24日、後楽園ホールで、アレクサンドル・ムニョス×相澤国之の世界スーパーフライ級タイトルマッチが行なわれた。
超満員の後楽園ホールの観客の歓声にホールは揺れた。この試合はテレビ放映され、多くの人々が目撃したことだろう。

しかし、同日、新宿で、オール4回戦の試合が、行なわれていたことを知る人間がどのくらいいただろうか。
カメラマンは、私を含めて僅か二人。記者もほとんど見受けられない。後楽園ホールの十分の一の観客に見守られ、試合は進んでいく。
淡々と、だが、どこか熱く。4回戦らしい派手な撃ち合いが続く。その姿に初々しささえ感じられた。
世間からは全く注目されることのない無名のボクサー達。しかし、彼らは紛れもなくプロボクサーであり、己の全てを賭け、戦っているのだ。
技術もパフォーマンスもまだまだ未熟な4回戦ボーイ。そのほとんどが、チャンピオンベルトを巻くことなく、ボクサーとしての自分にけじめをつけなければならない。
しかし、ボクシングに対する情熱は誰にも負けないものを持っている。私はそれを真摯に受け止めたいと思う。
世界チャンピオンでも、日本チャンピオンでもない、無名のボクサー達に、いつの日か太陽の光が降り注ぐことを心の底から願っている。
そして、ボクシングによって創られた時間が、いつまでも光り輝くと信じている。
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