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山田さんがこの「トーク イズ チープ」で連載している「手紙」は多くの話題を呼んでいる。
私も愛読者の一人だが、前回(第21回)の項で気になる個所があったので敢えて反論させて貰う。
問題の部分は「拳跡」に載った前東洋太平洋ウエルター級王者・日高和彦の以下のコメントである(日高が初防衛に成功した7月21日の試合後、控室で語ったものだ)。
「ヨネクラジムの何とかという生意気な選手が、俺に挑戦したがっているそうだけど・、それならもう少し自分で上がってこい、と言いたい」。
私も控室で取材をしていたので、そのコメントは間違いないものと記憶している。
”ヨネクラジムの何とかという選手”とはボクシング・ファンなら、すぐ山口裕司選手と分かることだろう。山田さんは、その「拳跡」に載ったコメントに対し山口が腹を立て、加茂さんに怒りを爆発させたことを記し、「書く以上は中立的な立場で書くべきで、偏った書き方は辞めて貰いたい。せめて”何とか”と日高が言ったにしても、ちゃんと”山口”と名前を書くのが取材者の役割ではないか」といった趣旨で締めくくっている。
が、山田さんの主張はちょっとおかしいのではないか。
「何とかという生意気な選手」と発言した日高の言葉の背後にあるのは、自分への挑戦の意思を表明しているものの、その意思を受け入れない彼の、山口に対する、意地悪であり嫌みである。それを、山田さんの主張通り「山口」と書いたら、日高の言葉の裏にある意味は全く伝わってこないだろう。
だから、このコメントの執筆者は、日高の発言通り書いたのだ。
むしろ、日高の発言を分かりいいように山口の名を記す方が、文章としては意図的で”中立的”ではなくなってしまう。
まあ、山口と仲のいい山田さんは、山口の怒りをなだめる意味も込めて、あの文章を書いたと思われるのだが・・。
後日、山口の取材に赴いた際、彼が怒りを爆発させた経緯を聞いてみた。
「僕は知人から、あの日高の発言を聞いたんですが、腹を立てたのは”何とかという生意気な選手”と『拳跡』に書かれたことではなく、日高が記者の人に”名前が分かってもそれを書かないでくれ”と言ったことなんです。それなら、名前を載せるべきではないか、と思ったものですから・・」。
それが山口から返ってきた言葉だった。
ともあれ、日高はその後、前王者のサンティリャンに王座を追われ、この4月20日には、山口がサンティリャンに挑戦することになった。
まずは、山口に何としてタイトルを獲得して欲しい、と我々一同、願っている次第である。
丸山幸一 |