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長いボクシング観戦歴と深い見識を持つMAOMIEさんに、さっそくボクシング界への提言をお願いしました。私も私なりに、業者側からの反論(?)めいたものを喋らせて頂きました。しかし、MAOMIEさんのおっしゃるとおり、こういうファンと業者との意思疎通の場は、絶対に必要ですよね。この対談が、その先駆けになれたら光栄です。(林隆治)

「業界に窓口を設けて欲しい」(MAOMIE)
林 ではさっそく、業界へのご意見・ご提言をお伺いすることにしましょう。
MAOMIE(以下・M) 業界に、ファンの声を受け止める窓口が欲しいですよね。ただメールで意見を受け取るだけでは、一方通行になってしまいますから。先ほど林さんが言ったようにface
to faceで直に議論する場を設けて欲しいですね。
林 そうですね。
M 業界とコミッション、そしてマスコミ、ファンなどが集まり、お互いに意見を出し合ってボクシング界の進路を探っていけるような、懇談会みたいなものを定期的に開催してもらえれば最高です。
林 協会には人気高揚推進委員会という組織があるので、そこにファンの方を入れるのも一つの手ですね。人気高揚というのは何も協会の人だけが話し合うというものでもないわけですから、マスコミの人や、例えば昔あったリングサイドクラブのような人たちに入ってもらうというのは、あっても良いと思います。
M ファンのほうも、実現しそうもない意見を一方的に言っているだけでは圧力団体になってしまいます。ファンがいくら言いたい事を言っても、業界サイドにも出来ない事情はありますよね。「そうは仰いますけどねえ・・・」という業界裏事情みたいなものがあるでしょう。今まではそういうのを知らないで、ファンが言いっぱなしになってきた面があるんじゃないですか?
林 そうですね、業界側もそういう事情を説明することが大切だと思います。私がこのサイトで執筆を始めた動機もまさにそれで、ファンが好き放題言っていることに対して、出来ないことや、私たちの考え方を説明した方が良いのではないかと思ったからです。それに対してファンサイドから反論があれば、そこから生まれるものもあるかもしれない。今まではとにかく、ファン側が業界人を一方的に批判して悪役にし、業界側は「言わせておけばいい」で終わっていて、意思の疎通がなかった。
M そうですね。だからいつまで経っても前と変わらない。そういう意味で、理解しあう場は絶対に必要だと思いますよ。現実を睨みながら,どうすれば良くなるかをともに考えるような場ね。そういうのが必要だと思うんです。どこの会社にも「お客様相談室」というのがあるでしょ?ボクシング界にもそういう窓口があるべきだと思いますね。
林 では私も手を尽くして、業界とファンの集いを近いうちぜひ実現したいと思います。
M よろしくお願いします。昔に比べたら、今は肥えた目を持つファンが確実に増えていると思いますよ。インターネットもあるし、衛星放送で海外のハイレベルな試合も見られるようになった。ファンがボクシングを見る目は、ずっと厳しくなっています。そこを業界の方にわかって頂きたい。昔は、それで済んでいたということでも、同じことをしていたのでは今のファンは納得しません。ファンがレベルアップしていますからね。ハードルが上がっているということ。
林 情報のスピードも発達していますしね。
M そうそう。私、中学生の時に大阪の大学生と文通していたんですよ。当時のプロレス&ボクシングの後ろの方のページに「文通しませんか」みたいなコーナーがあるでしょ?あれで知り合ってね。今ならメル友だけど,昔はペンフレンドとかペンパルって呼んでたの。2年くらい続いたかなあ。私が「昨日の関のパンチは切れていましたね」と手紙に書くんです。1ヶ月くらいすると「そうそう、切れてましたよね」なんて大阪から返って来るの(笑)。毎日自宅の郵便受けを覗いてソワソワしたりしてね(笑)。のどかな時代でしょ?笑ってるけど、そういうことを真面目な顔してホントにやってたんだから。純情だったし(笑)。それが今はクリック一発で、何万人もの目に触れるんですからね。
林 時代は変わりましたね。
M 変わりましたねえ。インターネットの普及自体が、ここ10年以内のことですよね。人類の歴史上で、この10年間ほど情報伝達のスピードが劇的に速くなった例は未だかつてなかったと思うんです。世の中の変化に遅れてはいけません。これを活用しないと取り残されるし、活用すれば世界が広がるはずです。ボクシング界ももっとインターネットを活用すべきだと思います。いいアイデアを持っている人はたくさんいるはずです。JBCもやっとホームページを立ち上げましたが、もっと充実させて欲しいですね。JBCや協会から発信するだけじゃダメね。双方向通信でないと・・・。

「確実にホールを一杯にしていけ」(MAOMIE)
林 そういうところからファンサービスが始まるわけですからね。
M そう思うなあ。とにかく、既存のコアなファンを納得させられなければ、新規のファンが興味を持つ道理がないですよ。それでは新規のファン開拓なんて無理ですよね。それにはなんと言っても、好カードを組んでいくのが必要条件です。好カードだけでは十分ではないけど,絶対に必要です。最近は好カードが続いていて、非常に良い傾向ですが、それを仕組みとして確立してもらいたいんです。ライバル同士が強制的に戦わざるを得ないような仕組み、そういうものを考え出してルール化することが必要だと思います。関係者の多大な努力で好カードが実現するんじゃなく、必然的にライバル同士が戦わざるを得ない仕組みね。
林 なるほど。
M 私は国内の世界戦は年に1回か2回で十分だと思うんですよ。本当に見たいのは、昨年10月30日に両国国技館で行なわれた、日本人世界ランカー同士の試合のようなものですね。その他に日本タイトル戦クラスでも、見たい試合がたくさんあります。
林 ああいう試合でまず、地道にホールを一杯にしていくことが、ボクシング界にとって復活への出発点になるというわけですね。
M ええ、そう思いますねえ。昔と違って、日本武道館みたいな入れ物を満杯にするなんてことは、ちょっと無理だと思うんですよ。これだけ国民の価値観が多様化していますからね。価値観が多様化して苦しくなっているのはボクシング界だけじゃないですよね。絶対だった巨人戦や大晦日の紅白でさえ視聴率が取れない時代ですから。今から力道山や王・長嶋、ファイティング原田さんの時代に戻そうとしても戻るわけがない。だからこそ、生き残っていくためには、まずは確実に後楽園ホールの座席を埋めていくことを考えるべきですよ。地道にコツコツね。
林 まあ視聴率を取るということになると、また別の話になってきますからね。ボクシングで数字を取るということは、KOが起きそうで起きない状態がしばらく続くということです。ですから、いくら好カードでも1Rで終わってしまったり、明らかに判定まで行きそうな試合は、視聴率につながらない。それにファンの方がよく言う意見に、KOで早く試合が終わってしまったら昔のお宝映像を流して欲しい、というものがありますが、あの過去の映像というのも視聴率が落ちるらしいですね。
M 我々からすれば、昔はビデオなどない時代でしたから、あれが最高の楽しみでしたけどね。ヘタな世界戦は早くKOで終わらないかなあ、なんて思ったくらいですから(笑)。
林 先ほどMAOMIEさんが既存のファンを大切にすべき、という意見を話されましたが、そういうコアなファンの意見と、世間一般の感性が乖離している、というのが現在の問題だと思うんですよね。特にテレビ局にとっては、目の前の視聴率が、ボクシング中継が続くかどうかの命運を握っている。だから、ディレイもするしカットもする。ファンの方は納得出来ないかもしれませんが、それらはボクシングを守るためなんです。
M なるほどね。
林 世間の人は、コアなファンのように辛抱強くない。3分間つまらないシーンがあればすぐにチャンネルを変えてしまう。ボクシングは真剣勝負だから、つまらない試合が全体の8割あって、それで残りの2割の面白い試合を自分が見ることが出来るか、というのがファンの楽しみなわけです。でも今は、テレビ局も世間もせっかちになってきていますね。今すぐ面白い試合を見せてくれ、と。
M うーん。そこを突かれると苦しいなあ(笑)。
林 今話題の亀田選手も、日本人と試合をして欲しい、というのがボクシングファンの意見かもしれませんが、一般の人は、外国人をバタバタ倒している、ということに強さを感じているんです。世間はタイ人が強い存在だと思っている。それだけ世間とボクシング界の見方が隔絶しているんです。だから、変に日本人相手に苦戦して商品価値を落とすようなことは、テレビ局からすればしたくないことでしょう。
M 私は亀田がどれだけやれるのか、そろそろ試金石として高橋巧選手とか大場浩平選手らと戦って欲しいですね。
林 でもそれはボクシングファンだけの意見かもしれません。世間は亀田の実力を確認したいわけではなく、あのやんちゃ坊主ぶりを見たいだけなのかもしれません。このような時代に、私たちはマニアの方を向くべきか、世間一般の方を向くべきか、そのジレンマに絶えず悩まされているわけです。
M うーん、難しいですけれども、今出来ることを最大限やる、それしかないんじゃないですか?それにはやはり、何度も言いますが、既存のファンを満足させてホールの座席を埋めることを、地道に確実にやっていくことが一番だと思いますね。テレビ放送も地上波はどんどん撤退していますよね。これも時代の流れで仕方ない部分はありますね。でも、衛星放送ででも好カードをどんどんやって、いつか地上波が「お願いだから放送させて」と泣きついて来るくらいになって欲しいです。
(以下次号)
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