第一実験「懐古」
 渋谷の”スタバ”で、女子高生が化粧直しをしながら、連れの友達に言った。
「ってかね。”前カレ”は本当に超完璧な人だったのね?」
 ”前カレ”は何故、完璧にも関わらずこの女子高生と付き合ったのか。
 彼は今、過去の人間から伝説の人間になろうとしている。

 考 察 

『アマチュアは弱くなったのか。』
(今回は前書きどまり)
 昔から「最近の若いもんは…」みたいな意見はどこの世にも存在している。当然スポーツの世界でも、と言うか特にスポーツの世界では多々聞かれる気がする。衰退気味のボクシング界ではもはや引っ切りなしだ。
「昔の方がレベルが高かった」
 実際にそうなのかも知れない。しかし、強い選手が引退し、それに負けていた選手が活躍を始める、という新陳代謝が繰り返され、やがて「過去」の選手はあたかもとんでもない超人だったかの様になっていることもないだろうか。しかもそこへ個人的な思い入れも加わると、現役選手よりも著しい成長を遂げてしまいかねない。過去の強豪は、やがて歴史上から伝説上へでも向かっているのかと思うこともある。ない?いや、俺にはある。
 確かに平均レベルの上下は、一時的な小さいものでならしばしばあると思う。オリンピックの節目を終えたばかりの今年の全日本選手権では、極端な言い方をすれば軽い閑古鳥状態が予想されていると言う。
 それにもちろん競技者人口が減れば必然的に一級品の数も減る。全体が「いい波」に乗れなかったら勢いも落ちる。しかし何でもかんでも容易に「下がった」と認識するのはどうなのだろう。まずズバ抜けた活躍を見せる選手、つまり「スター」が多かったというのはどうなのだろう。揚げ足を取っているのかも知れないが、スターは技術レベルが低い方が誕生しやすいはずである。稀に見る天才が時々現れるとしても、肝心なのはその周りの「その他」の選手ではないだろうか。パッと見ての動きの良し悪しは、対人競技では相手次第で大きく上下動するだろうし、現役選手の視点で見た場合も、ビデオなどで残る昔の選手の映像に否定的な点が多く見えるのである。切磋琢磨、試行錯誤が繰り返されるうちに常套手段が確立され、

それにより元々の醍醐味が薄れ始め、やがて競技が「つまらない」に向かうかも知れないが、別にそれが同時にレベルの低下には向かってはいない。つまらないとレベルが低いは別物であり、手段の研究は、歴史と共に日々重ねられている。
 フィジカル面でもやはり一概には優劣は断定出来ないらしい。「日本人の体は筋力面では発達し、”骨”の面で衰えた」と新日本木村ジムのトレーナー、石井敏治氏に以前伺ったこともある。
 結局、「強い」というのは、何かと何かを比較しての相対的なものである以上、現在と過去を比較するのは極めて難しいと思う。タイムマシーンでその伝説の選手のところへ行って、「こいつと戦ってやって下さい」しかない。ましてや途中で、8オンスグローブから10オンスグローブ、ノーヘッドギアからヘッドギア着用など、ルールが変わっていたらもう不可能中の不可能だ。だから大舞台で活躍できる選手が減ったか増えたかにおいてならば現在は明確に前者、言えるのはそれだけではないだろうか。「相対的に言えば」ならば確かにレベルは下がっている。
 さて、そろそろ本題に近づけ始めたい。現在、自分の身の回りでは特に言われていること、「今のアマチュア(の選手)は弱い」のことである。主語一つ、述語一つだけの一括りでまとめられる。「オリンピックで勝てない」から、「プロで勝てない」からの理由で一括り。K−1に借り出されたビッグネームのボクサーが対策を練らない「蹴り」の前に綺麗に倒されて「ボクサーは弱い」と言われるとブーブー言いたがる割には、アマチュアの低迷にはこの意見でまとめて終了。この雑さが「肝心な何か」を放っておいている気がしてならない。自分には今のアマチュアボクシングが現在のルールの上で、そこまで低いレベルで競い合っているとは客観的にも思えない。この辺りに次回から話題を持っていきたい。



”やえがしあきら”君です。

++ ピックアップ ++


八重樫東 (やえがしあきら・拓大4年)

個性派で正統派のボクシングバカがプロ転向。

・インターハイモスキート級優勝(高校3年)
・ライトフライ級国体成年の部優勝(大学2年)
・関東大学リーグ戦ライトフライ級階級賞(大学4年)
★一見して独特な雰囲気の笑顔と容姿である。それは試合でもまたしかりで、この八重樫東君のリングインの際は、頼もしい何かを感じさせられた印象がある。好戦的なファイターとして活躍した彼は、近日、大橋ジムよりプロに転向することになった。日ごろから研究熱心なボクシング中毒で、この口からはボクシングの話題が溢れ出て止まらない。繊細で回転力の高い連打は評価が高く、プロ志向は高校時代から強かった。評判も鰻上りの状態だったが、本人は「買い被られるのが凄く苦手」と謙虚な姿勢を曲げず、「アカレンジャーみたいな中心人物より、ミドレンジャーみたいなおいしい存在で上を目指したいです」と中堅根性抜群に語った。とりあえず頑張れ八重樫君!お前の名前、読めないわ!


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