EL GALLO

Text Photo By 宮田 有理子




「ギフはトウキョウ?」
「NO! カントリーサイドね〜」

5月16日に日本で石原英康選手と戦うことになったWBA世界スーパー・フライ級トップコンテンダーのマルティン・カスティーヨのクエスチョンに答えているのは、元ジムメイトの丸山礼子さん(ロス在住女子プロボクサー、先月本欄掲載)である。
4月中旬、ロサンゼルス道楽旅行でLAジムを訪れていた私は、マック・クリハラ・トレーナーの「練習を見てくるといい」とのはからいで、王者アレクサンデル・ムニョスに代わり暫定王座決定戦に急遽出場するメキシカンに会うことができたのだ。

というわけで、今回は、好青年マルティンのインタビュー。
案内役は、ロス在住で英語ペラペラの元プロボクサー西脇大輔氏と礼子さん。かつて同地で練習・試合をしていた西脇さんはマルティンとは元スパーリング・パートナーという仲である。「ボクサー生活の中で一番たくさんスパーをしたのはマルティン」だとか。そして、スパニッシュと英語の通訳を買って出てくれたのはウルバノ・アンティロン、通称ジュニア。日本のリングにも上がったことがある21歳のホープだ。

ダウンタウンにあるLAジムから、メキシカンの町メイウッドの小さなジムに練習場所を移し、プロ入り以来コンビを組んでいる“チャト”ことマニュエル・ロブレス・トレーナーとマンツーマンでトレーニングしているマルティンは、3人の元ジムメイトたちとの再会に笑顔が絶えなかった。1ヵ月前に決まった世界戦、時差16時間の日本への遠征というハンデを、いっこうに気にする様子はない。試合までに135ラウンドのスパーを消化する予定とのこと。とにかく相手の動きがよく見えていて、軽いステップワークと身のこなしでヒットを許さない。巧くて、速くて、カメラのシャッターを押すのを忘れて見とれてしまった。


――イシハラ選手について、どんな情報を持っていますか?
「サウスポーだ、ということだけ。でもそれで十分」

――1月の世界挑戦者決定戦で戦ったロヘール・ガルシアというフィリピン人も長身のサウスポーで、フルラウンドを要していますが、サウスポーは苦手?
「ノー。相手がタフガイだっただけ。イージーじゃなかったけれど、いい練習になったよ」

――2002年3月にIBF王者フェリックス・マチャドに初挑戦。その時はバッティングで頭部を負傷し、ドクター・ストップとなっていますが、試合内容としては有利だったようですね。
「自分でも、勝っていたと思うよ」

――どんなスタイルの相手が得意?
「どんなタイプだってOK!。どんなパターンでも、うまく戦うことができるよ」

――日本の選手について、どんな印象がありますか?戸秀樹選手の元スパーリング・パートナーだったとのことですが。
「彼はストロング。ビッグハートだね。とにかくよく練習する人だったよ」

――日本について、どんなことを知っていますか?
「日本には行ったことがないけれど、好きだよ。日本人はナイスピープルでしょ。でも、物価が高いんだよね?」

――どんな試合になるでしょう?
「勝つよ! 初めて日本に行けてハッピー。スペクタクルな試合をしたいと思います」

 1977年1月13日生まれの27歳。父親のすすめで10歳の時にボクシングを始め、本人の話ではアマ・レコードは180戦160勝20敗。11歳の時にフランシスコ・ボハドに負けているが、95年にはフロイド・メイウェザーに勝っているという。目下26戦25勝(15KO)1敗。唯一の黒星は、2002年のIBF王座挑戦での負傷判定負け。 過日、空位のIBFスーパー・バンタム級王座に就いたイスマエル・バスケスとは、元チームメイトである。


 別れ際、日本でインタビューを受けるであろう友人に、礼子さんたちが、へんてこな日本語を教え込んでいた。もし彼が忘れず、その言葉を言えたら、かなり笑いをとれるだろうな……。



Top