近年、特に日本のジム制度について論争される事が多くなっていますが、日本とは正反対の制度をとっているアメリカでの実情を今回はお伝えしたいと思います。
日本ではご存知の通り、選手は一旦ジムに入会するとそのジムの所属選手として活動しなければならない為、練習場所やトレーナー、そしてマネージャーなどの変更は容易ではありません。例えば、ジムは気に入っているけど、ある特定のトレーナーに指導してほしいと希望しても、トレーナーも選手もお互いのジムに所属しているので、トップ選手の例外を除いては難しい状況になっています。選手のマネージメントに関しては、ジムが一切を取り仕切っている為、選手がマネージャーやプロモーターを自由に選ぶ事は不可能となっています。しかし、アメリカでは選手やトレーナーそしてプロモーターやマネージャーの流動性が活発なため、トレーナーなどの変更はまったく珍しい事ではありません。ジムに関して言えば、ただ練習場所を提供しているにすぎず、選手のマネージメント権はまったくないのです。
しかし、私が主に担当しているアマチュアの選手の場合は異なります。18歳以下の選手はジム所属とされ、定期的なローカルの試合の時などは「何々ジム所属」とアナウンスされます。「リチャード・スティール ボクシングジム」では、18歳以下の子供が入会した時点で一人一人に専属のトレーナーが割り当てられます。そのトレーナーが責任をもって選手を指導する事になるのですが、もちろんトレーナーの変更は可能なので縛られる必要はありません。
トレーナーの役割ですが、ボクシング技術の指導はもちろん、選手のマネージャー的な役割も果します。と言うのも、同じジムに所属しているとはいえ、トレーナーが選手管理のすべてを担うことになるからです。分かりやすい例を上げると、日本でいえば、複数のジムが一つのジム内に共存している状態と考えると良いでしょう。同じ場所で練習しているのですが、一人一人所属が違うのです。具体的に言いますと、自分の選手のスパーリング
パートナーを探す時、トレーナーは選手と直接話をするのではなく、その選手のトレーナー(マネージャー)と話をつけるのです。「今スパーリング・パートナーを探しているのですが、スパーできる選手いますか?」とか、「来週の火曜日にあなたの選手とスパーさせましょう。」などと、一見日本のジムのマネージャーや会長達がマッチメークする時のような会話が、同じジムの中で交わされているのです。当然トレーナーは自分の選手の実力に見合ったスパーリング・パートナーを探さなくてはならないので、相手のトレーナーに選手の戦績や体重、サウスポーかオーソドックスかなどの質問をしてからスパーリングを申し込むのです。特にボクシングを始めて間もない子供達は、スパーリングで痛い目に合うともうジムに来なくなるケースも多々あるので、スパーリングといえども相手選びには気を遣います。それに加え、日本では認可されていない小、中学生の選手達は、体もまだ出来上がっていない状態なので、体のダメージもより一層考慮しなくてはなりません。ですから、あまりにも実力差がある選手とスパーリングしてくれと頼まれた時は断らざるを得ないのですが、そう毎回断っていては自分の選手がスパーリングパートナーを探している時に頼みづらくなるので、そのあたりの折り合いが難しい所です。その点は、日本の会長さん達がマッチメークする時と類似しているのではないでしょうか。
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