| 元東洋太平洋バンタム級チャンピオン Text By 新田 渉世 Photo By 山口 裕明 |
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| コウジ有沢(草加有沢) |
| 新年明けましておめでとうございます。 3ヶ月ぶりのTalk is Cheap となりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。「戦士と語る」は、少しだけ装いを新たに復活したいと思います。 タイトルには“=現場編=”を加えることにしました。というのは前回少しお話しました通り、本年2月5日に「新田ボクシングジム」をオープンすることになり、まさにボクシングの“現場”に復帰することになった為です。 ちょっと野暮ったいタイトルですが、ズバリそのものという雰囲気が気に入ったので決めさせていただきました。 ジム会長という立場で、ボクシング界の“戦士”達とどう関わってゆけるのか、やってみないと分かりませんが、まあ何とかなるでしょう・・・ それと自称“しょーちゃん”は、ちょっと軽すぎるのでひとまず自粛することにします。とはいえ、今後とも変わらぬお付き合いの程よろしくお願い申し上げます。 |
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ヒロちゃん(刺青ボクサー大嶋宏成)とコウジくん(コウジ有沢)は、ボクシング界の無二の親友。それに畑山くん(畑山隆則)を加えた三人が、仲良しトリオなのだそうだ。何とも豪華なトリオである。
前回初対面で意気投合したヒロちゃんは、心の通じた友人としてコウジ有沢を紹介してくれた。 コウジくんとも、話すのはこれが初めて。以前から「きれいな?男だなあ」と気になっていたが、会ってみると外見だけでなく中身も美しい男だった。 最初にあったのは10月末。埼玉県の草加有沢ジムを訪ねた。 ジムには20人以上の練習生達が、ところ狭しとひしめき合い活気に溢れていた。奥でサンドバッグを打つコウジ有沢が見えた。 「あんた誰っ?何の様?」 入り口でいきなり、父君である有沢会長に怖い顔で問い詰められた。 「いや、あの、かくかく云々で・・・」
「じゃ、ゆっくりしてって。よかったらこっち来て座って。」 と、缶コーヒーをご馳走してくれた。 やはり手土産として駅前で買ってきた甘栗は正解だった。 「ジム経営は大変だよぉ・・・」 新田ジムオープン準備の為にあれこれ質問してみると、少し疲れ気味の返事が返ってきた。 興行の準備で試合チケットを仕分けしながらため息をつく姿を見て、これからこの世界に飛び込んでゆくんだと気が引き締まった。 まあ何にしろ、有沢会長という人物に多少なりとも接することができたことが何となく嬉しかった。 練習を終えたコウジくんと共に、近くの喫茶店へ向かった。 口数の少ないクールなタイプかと思っていたが、初めて話す相手にもかかわらず、ピラフを頬張りながらニコニコとよくしゃべる青年だった。本人曰く、話したいと思わない人間にはほとんど話さないということだから、喜ぶべきことなのだろう。それにしてもよくしゃべる。 今では3歳、1歳の二児の父となった“美少年”。奥さんのこずえさんとの出会いは、上野で声をかけたのがきっかけらしい。 「ナンパじゃないんですけどね。」 というが、他の呼び方があっただろうか・・・。 コウジくんは尾崎豊が好きらしい。ウォークマンで尾崎の曲を聴きながら涙を流した日々もあるという。突然この世を去った彼の追悼式には、学校を休んで参列した。雨の中、傘もささずに立ち続けた。雨に濡れるのは男の美学らしい。が、風邪をひいて翌日も学校を休んでしまった。 久しぶりに同行したフォトグラファ山口も尾崎豊に心を震わされたひとりだったので、ふたりの間で話ははずんだ。
コウジくんの趣味は写真。 何かのコンクールで(何だかよくわからないが)、銀賞を取ったというから腕前も素人ではないらしい。心情風景(何だかよくわからないが)を撮りたいとのことだ。 「一時、機材を揃えることに走ってしまったけど、そんな自分が許せなくて全部売ってしまったんです。」 傍らで大きくうなずく山口。ふたりの間で更に話ははずんだ。 「ボクも写真やってみようかなぁ・・・」 なんてつぶやきながら、ふたりの中にステップインするチャンスをうかがう自分が少し寂しかった。 新年5日に再び彼と会った。 彼の後援者の経営するアジア料理レストランを訪れ、夕食をともにした。 彼は非常にマメである。後援者へのあいさつ回りをかかさず、その度にポスターやチラシを持って宣伝に努めている。こういうこともボクサーの仕事のひとつなのかも知れない。 この夜は2回目ということもあり、前回よりリラックスした雰囲気で会話がはずんだ。 有沢家は先代の会長以来のボクシング一家。
自分の家がジムだったにもかかわらず、ボクシングにはまるで興味はなかった。むしろプロレスのタイガーマスクの方が好きだった。 父親からは「中学を卒業したらボクシングをやれ」と言われていたので、高校時代はバスケットボール部活動とボクシングを両立させていた。特に嫌ではなかったが、ボクシングはその程度の位置づけだった。 ひと足早くインターハイなどで活躍していた双子の兄・カズに対してはまるで関心がなかったが、兄弟ゲンカでは互角の勝負をしていた。 カズのある大事な試合の前日、派手な兄弟ゲンカの末にカズの唇をパンチで切り裂いてしまったことがあるという。さすがにこの日の夜は屋上で悔恨の涙を流し、「もう喧嘩はやめような」と話し合った。 結構涙もろい・・・。が、そんなところで中身も美しいことが分かる。 当時から強さの片鱗を覗かせていたコウジくんは、やがてプロで日本チャンピオンになり防衛を重ねた。そして、あの畑山隆則との激戦を迎えることになる。 「あの試合がきっかけで畑山くんとは友達になったんですよ。」 日本タイトル戦としては、近年まれに見る好カードだった。試合前にはさまざまな宣伝活動が行われ、ふたりはしばしば顔を合わせて一緒に“仕事”をした。
クイズ番組に一緒に出演したり、試合用のあの“ケツ出し”ポスターの撮影等々、ふたりは急接近してしまったわけだ。(もちろん撮影時間はずらしておこなわれたが・・・)。 あるテレビ出演終了後、帰り道で畑山隆則が呟いた。 「俺たち、これから試合するなんて信じられないね。」 コウジくんはこの時何となく彼とはウマが合うな、と感じたらしい。 試合は激闘の末、9R TKOで畑山に軍配があがったが、間違いなく好ファイトであった。その後コウジ有沢は畑山が返上した同タイトルを再び獲得し、6度の連続防衛を果たしている。 “しょうせいさん”と呼んでくれる彼とは、なんとなくウマが合う。まだ世界を見据えて戦っているコウジ有沢にエールを送る。 “現場編”と言っても、まだまだあの四角いジャングルまでの距離はかなり遠いです。 長い目で見守っていただけますようお願い申し上げます。 今年一年が、皆様にとってすばらしい年となりますようお祈り致しております。 |
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